No.33

特にテーマはございません。日常で見たり聞いたり考えたことを、徒然なるままに。

映画「風立ちぬ」を観て、湧き立ちし想い

ジブリの新作映画「風立ちぬ」を封切り日に観てきました。

メッチャ良かったです。何が良かった、ってのを書こうと思います。

 

あまり具体的に書くつもりはありませんが、やはり少しは内容に言及したりヒトによってはネタバレとなる可能性は大ですので、これ以降お読みになる方は、その辺をご了承ください。

つーか、先入観とか持って観て欲しくないので、まだ映画をご覧になってない方は、これ以降は読まないで欲しいかな、というところが本心です。

映画をご覧になった上でこのエントリを読んで頂き、何かしらリアクションして頂けるのが一番嬉しいかな、と思います。

というのは私の勝手なので、読むも読まないもあなた次第。では、書いていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この作品の中で、最も私が強く感じたモノは、"懐古"と"回帰"、でした。

 

日本人が大切に培い継承してきた、仁・義・礼・智・信と呼ばれる類の心持ち、所作が、登場人物の動きの随所に見られました。

(この思想の根っこは儒教ですが、それが日本に入り日本の文化として昇華された形での、という意味合いです)

また、初夏の新緑、盛夏の紺碧の空に盛り上がる入道雲、ハラハラと舞う雪、桜のたおやかさなど、日本の四季(秋の紅葉はなかったかしら)の美しさが描写されていました。

それらから、旧き良き日本、というモノに対するノスタルジックな印象を強く受けたのです。

それを単に老人の思い出話とする向きもあるかと思いますが、私はそうやって失われつつあったり、当たり前という認識に埋もれてしまっている日本の美しさを観客に再提示して、「さぁ、どうする?」と問われてるように思いました。

これらの美しさというものは既に時代遅れであったり、他の新しいステキな価値観が出現してるかもしれません。

そんな"今"にあって、個人それぞれが何を大切にするのか?を問いかけられてるように思います。

私は、古きも新しきもいいとこ取りすればイイと思う欲張りなタイプなので、この映画で再認識できた良さを、自分の中にしっかり取り込んで表出していければいいかな、と思いました。

 

 

そして、今作で印象深かったのが、過去のジブリ作品を想起させるシーンの多さ。

ぁー、ここはあのシーンに似てる、ここの描き方はあの映画でやってたのと同じ感じだ、などなど。

連続してない作品はそれ単独で楽しむ方が適切と思っているので、正直、過去の作品との繋がりを考えてしまうのはビミョーでしたが、どうやっても好きな映画のシーンを思い浮かべてしまうのは仕方ない、と途中から開き直りました(苦笑)。

飛ぶ機械とそれが飛ぶシーン描かせたら、ジブリの右に出るものはないと思います、ホント。何か飛ぶだけで感動するんだからスゴイです。(ミーハー?笑

 

このような見える部分の他にも、作品が発するメッセージにも他のジブリ作品から感じるモノを多く感じました。

テーマとして掲げてある「生きねば」というような"生"に対する執着(良い意味で)。

ヒトがヒトを想い、愛することの美しさ、尊さ。

自分の夢、想いに反さず、自らを信じ真っ直ぐに行動して足掻くことの輝き、熱。

などなど。

幾つかの要素を複数の作品が共有していた、という事は、これまでもありましたが、今作は、そのほぼ全てが含まれてたのではなかろうか、という印象でした。

まぁ、これらはずっとジブリの作品の中に流れ続けているモノを今作も引き継いでた、ということで"回帰"と言ってしまうと乱暴なのかもしれないですね。

理屈をつけるとすれば、多かれ少なかれ、毎作、ジブリは何らかの回帰をしている、と言えるのかも。うーん、どうなんだろ。

 

余談になりますが、そんな中で雪が舞うシーンについては新しさを感じました。ジブリ作品で、あんな雪の舞わせ方したのは今作が初めてじゃないかしら。

 

 

メインの印象はこんな感じ。これはどのタイミングで観ても感じたかな、と思う所です。

続いては、今、このタイミングで観たからこそ印象強かったのではないか、という部分について。

 

大事なものって何でしょう。一番優先順位の高いものは何でしょう。

夢、大切なヒト、家族、仕事など様々な事にかかずらって私達は生きてます。

そんな中で、自分が何を大切に思って何をやっていくのか。何を選択するのか。

自分の価値観だとか信念だとか、そういうものを大切にできる強さを登場人物達の動きから感じました。

ぁぁ、この辺は、ジブリの映画だと少なからず感じるかな。

ここは私の現状が大きく関わるのでしょうけど、今、色々と変化を前にしてるタイミングで、自分の選択を補強する何かが欲しくて、その何かを自分に委ねていいものか、という部分で強く励まされました。

この辺は、「男は仕事してなんぼ」みたいな、むかーしの価値観も出てきますが、そこは現在の自分の良しとする価値観に摺り合わせることができればいいのかな、と思います。

 

潔さ。

登場人物達はとても強い。自分の信じる事に真っ直ぐです。自分もこうあることができれば、と思います。

劇中何度か繰り返される、主人公の「美しい飛行機を作りたい」というセリフは、胸を打ちます。

創作の世界だから理想的であって当然。現実はそんなに甘くない。とかわかったような顔はしないで、やっぱり自分の思う事に拠って動けるっていいです。

そういう部分で登場人物達は自らの選択、行動にはしっかり責任を背負う強さを備え、素晴らしい潔さを持っています。

ここは私に足りてない部分。ずーっと引っかかってはいるのだけど、まだまだ備わらない。改めて頑張らないとな、と思うのです。

私はどうにも未練がましくっていかんのだ。

 

私も30手前になって、少なからず過去というモノが積み上がってきている身です。

そんな中、以前の作品だったり、以前のこの国の姿だったり、過去を想起するシーンの多いこの映画を観て、懐かしさを多く感じました。

その懐かしさから、図らずとも涙がこぼれたシーンも幾つかありました。(他のヒトはきっと泣かないようなシーンでも

過去を美化する、とかそういう事ではなくて、過去が持つ良さ、美しさ、そんなモノに心打たれて震える。涙がこぼれる。

そんな感動の仕方はもしや初めてではなかろうか、私もそういう心の動き方をするようになったのか、と感慨深い余韻を覚えたのです。

その一方、過去に思いを馳せるだけでなく、未来も見据えていかねば、という事も殊更に感じもしました。頑張ろうね。

 

 

そんなこんなで、感動しきり涙しきりの2時間超。

とても素晴らしい時間でした。

やはり、ジブリの作品は元気をもらえるのだなぁ。大好きだ。

 

ただ、終わり方は「あれ、これで?」というさり気なさ(主人公の相手役を落下寸前でキャッチして大団円、や、魔法で変身させられた両親を元に戻して大団円、などはなく)で、話自体もウワーッとクライマックスにという類の盛り上がりも乏しい(追い詰められて滅びの言葉で一発逆転、や、首が飛んだ神が化け物化して「どうなるんだ!?」という類のハラハラ感もない)という展開で、そういうものを映画に求める方には物足りない作品かと思います。

あと、子どもは話がわからなかったりで、退屈しちゃうかもしれないですね。

まぁ、作品の好き好きはヒトそれぞれなので、どんな作品にも向き不向きあるでしょう。そんな話。

 

とりあえず、どんなヒトにも一度観て欲しいな、と思える作品でした。

特に、これまでのジブリ作品が好きで、セリフ覚えるほどに思い入れを持たれている方は、とても楽しめるのではないかと思います。

ホント良かったです。もう一度観に行くか、ソフト出るの待つか、それが問題ですね(笑)。

 

 

“Le vent se lève, il faut tenter de vivre”

「風立ちぬ、いざ生きめやも」

「風が起こった、さぁ、生きねばならぬ、生きようじゃないか」

風を感じ、その中を生きようと努めることは、とても大切でありながら、不安が大きく苦しいものかもしれません。

ただ、その風を一身に捉えて、自分の夢に向かって大きく飛翔できれば、とても素晴らしいことだと思います。

今自分の周りに風を感じないのならば、自ら風を起こして、その中を生きていくことも、また試みてもいいかもしれませんね。

 

 

そんなこんなで、とてもイイ作品にイイタイミングで出会えたと思います。

この巡り合せに感謝。

 

ではまた、その内。