No.33

特にテーマはございません。日常で見たり聞いたり考えたことを、徒然なるままに。

冬の歌

「ハーッと吐くと息は白くなるけど、フーッと吐くと白くならないんだよ」

 

雪でもふり出しそうな鈍色の空の下、ふたり並んで歩いていた。

私がそう教えると、あのヒトは半信半疑ながら口をすぼめ、透明な息を吐いた。

続けざま、今度は大口を開けながら白い息を吐く。

 

「あ、ホントだ」

弾んだ声。

「知らなかったな」

にんまり笑うと、とても面白そうに、フーッとハーッを繰り返しながら歩いていく。

 

透明な息。白い息。

 

息で遊ぶのに飽いたのか、今度は歌を口ずさみ始める。

漂うメロディを捉え、そうだ、この歌は、冬を歌っているのだったな、と思い当たる。

 

歌いながら、スタスタと、足取り軽く歩いていく。

ふたり、横に並んでいた形は崩れ、私が後に続くようになる。

 

「冬って好きだなぁ」

そう、あのヒトは言っていた。

 

冬のどこが好きなのか、結局、私は知らぬままだ。

 

 

 

"冬は好き そう呟いた口が歌う冬は とても寂しく澄んで響いた"